キミの背中

「柚子ー? おーい、ゆーずー?」

背中を通して聞こえる声。
だけどもう既に片足を夢の世界に突っ込んでいる私には、その声に応えることは出来ない。

「またかよ、もう」

呆れたような声。
その声が、好きだったり、する。

私が一番落ち着くのは、彼の背中。
だからこうしてよく彼と背中合わせに座って、その温かさを感じながらまどろみに落ちていく。

「ゆーずー。おーきーろー」

彼がゆらゆらと体を揺らす。
揺さぶるわけではなく、あくまでもゆっくりと。
それがまた、私の眠気を誘う。

「おーまーえーがーねーたーらーおーれーはーどーすんだー」

ゆらゆら揺れるそれに合わせて、彼はいつもと同じことを言う。
いつもいつもそう。
彼の部屋に遊びに来て、背中合わせで座って、最初は雑誌なんか読んでて。
でも気がつけば、眠気が訪れて。

「ゆーずー」

彼は何度も何度も私の名前を呼ぶ。
私は意識の遠くで彼の声を聞く。
それもまた、心地いい。

「ちゅーしちゃうぞー」

別にいいよー、なんて思いながら、この体勢じゃ出来ないでしょー、とも思う。
本気じゃないのがわかっているし、私も全然反応しない。

「くすぐってやろうか」
「それはイヤ〜」

ふわふわした感覚の中で、それだけ答える。
そうするとあははっ、と楽しそうな声が聞こえてくる。

「柚子ー? 寝るなら一緒に寝ようよ」
「このままが、いい〜」

どうしてこんなに落ち着くんだろう。
彼の背中は不思議な不思議な私の居場所。

「聞き分けのない奴には〜」

そう言って彼が、ぐっと両手を床に着いたのがわかった。
あっ!! と思う間もなく、彼がすっと体をずらす。
彼に体重を預けていた私はもちろんのことそのまま後ろに。

「きゃあっ!!」

ゴツッとまではいかなくとも。
それなりに鈍い音がした。
それを見て彼は豪快に笑う。

「もぉー!!!」
「柚子が悪いんだろ」

起き上がって抗議する。
だけど彼は顔を背けて。

「痛いじゃないのぉー!!!」
「柚子が悪いんです」

尚も顔を向こうの方へと。
こういう子供っぽいとこも、好きなんだけどね?

「寝たいなら」

そう言って彼は、私の腰に腕を回し、そのまま倒れこんだ。
彼に後ろから抱きかかえられて、二人で横になる。

「一緒に寝ようって言ってるだろ」
「もぉー。背中、気持ちいいのに」

そう言いながらも、背中に彼のぬくもりを感じて、また夢の世界が手招きを始めた。


なんてのどかな休日。





【あとがき】
4万Hit御礼小説はほのぼのした感じで書いてみました。
どうしでしたでしょうか??
結構私切ない感じのばっかり書いてるので、たまにはいいですよね。
しかしホントに4万Hitが早すぎて焦りました〜。
だってついこの間3万Hit御礼小説書いたばかりですもの。
嬉しいことですよね、本当に。
ありがとうございます。
次は5万ヒィーーーーーット!!!!!笑

未希






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