「嫌いだから愛してる」拍手お礼小話

「棚橋ー」

「なんだよ」

「これ見てこれー」

「どれ?」

「これ。この旅館、超良くない? 景色とか最高なんだけど」

「行きたいわけ?」

「行けるもんなら行きたいけど、しがない学生には無理なお値段」

「俺に出せと?」

「そう聞こえたのならそうかもね」

「俺はしがない保健医なんでな」

「安月給だもんな、棚橋」

「おいこら」

「冗談だっつうの」

「まぁすぐは無理だけど……いつか連れてってやるよ」

「いつかね」

「あ、お前俺のこと信用してないだろ?」

「そういうわけじゃないけど」

「じゃあどういうわけだよ」

「この先も、こうやってあんたと一緒に、いられるのかな?」

「珍しく不安にでもなった?」

「ちょっとだけ」

「安心しろ。お前の相手出来るのなんて俺くらいだ」

「それってどういう意味?」

「そういう意味」

「あんたの相手出来るのだって、あたしくらいだよ」

「ま、そういうことだろ」

「……うん」

「安心しろよ。俺ももう、いい歳だしな?」

「待ってて、いいんだよね?」

「待ってるのはお前じゃなくて俺」

「なんでだよ」

「さっさと卒業しろって言ってるだろ?」

「卒業出来るか不安だけどね」

「お前それは……頼むぞ、マジで」


ある日のヒトコマ。





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